個別進学

エンターテインメント・スクール

トップ > NEWS先生のコラム 

 

 

 

 

第48回

国語の先生・作文の先生(6/11)


文豪幸田露伴の娘も小説家になりました(幸田文の娘も文筆家になりましたね)。幸田文の小説には、いつもおもしろい表現がたくさん出てきます。
あたら針さしはごろっちゃらしながら、
 箪笥がでくんとしていれば、
蔵で働くものは又、びりんとしたものをもっていた。
父一流のずぼんとしたおおまかさで
いま手元にある本をぱらぱらめくっただけで、すぐにこれだけ出てきます。しかも、幸田文の造語だと思われる言葉がつぎつぎと出てきます。小説を読んでいるとなんとなくわかるような気がするのですが、いざあらためて、『ずぼん』とはどういう意味ですか、と聞かれると、ちょっと困ってしまいます。
国語で、適切な擬音語、擬態語を選ぶという問題を、特に低学年のときにはやります。
 パンを(       )たべた。(   )にあてはまる言葉はどれでしょう。
ア むしゃむしゃ  イ くしゃくしゃ  ウ むしむし  エ むしゃくしゃ
このような問題で、たしかにアを選べないようでは困ります。くしゃくしゃはどういうとき、むしむしはどういうときに使うのか、ということを教えなければ国語の先生としては失格です。
ですが、作文の先生として、ときどき迷うときがあります。パンはむしゃむしゃ食べるのだ、という言い方を習った子は、パンを食べるときはほとんど『むしゃむしゃ』を使って、それ以外の食べ方を書こうとしません。
たとえば幸田文は、ジャムパンを『わんぐり』食べるなどという書き方をしています。作文の先生としては、子ども達にそんなおもしろい表現も使ってほしいところです。しかし、国語のテストや作文で、パンをわんぐりと食べたと書いて、学校の先生は丸をつけてくれるでしょうか……。
国語の先生と作文の先生のあいだで、悩むのはそういうときです。正しいといわれている書き方も教えたい、けれども、それを越えたときに生まれる表現も知ってもらいたいと思うのです。どちらがいいということではもちろんなく、どちらも必要な力なのでしょう。そして、どちらも教えられるのがNEWSという場所なのだと自分では思っています。

NEWSおもしろ作文倶楽部コース責任者
三木 裕

ページの先頭へ